昔は赤ちゃんの健康に不可欠とされてきた「日光浴」。しかし1998年に母子手帳から日光浴を推奨する文章が消え、「外気浴」に変わりました。なぜ日光浴から外気浴に変わったのか、日光を浴びなくても大丈夫なのか、専門家による情報を数回に分けてお伝えします。

【なぜ「日光浴」から「外気浴」に変わったの?】

「日光浴」とは、日光を身体に受けることを目的にしているのに対し、「外気浴」は赤ちゃんを新鮮な空気にふれさせることを目的としたもの。現在は生後1カ月頃から、庭やベランダで5分程度の「外気浴」を始めることが推奨されています。

「母子手帳の記載が『日光浴』から『外気浴』に変わった背景には、大きく2つの理由があるようです。

1つ目の理由は、オゾン層破壊などで昔より紫外線を浴びやすくなっているという「環境的な問題」

日光浴をやめましょうというのは世界的な流れ。オゾン層の破壊で紫外線の皮膚への到達率が高まり、特にヨーロッパやオーストラリアなど、紫外線の影響を受けやすい白人系人種が多い地域で、皮膚がんなどの健康を害するケースが増えており、そうした世界的な流れと、大人に比べて皮膚が薄い赤ちゃんへの影響を重くみて、『日光浴』の表記を削除し、『外気浴』に変更したとの事です。

これに加えて、2つ目の理由は、時代の変化に伴う「日本の栄養状況の変化」

骨の成長にはビタミンDが必要。でもこのビタミンDは、紫外線にあたって活性型ビタミンDに変化しないと効果が出ません。昔は栄養が不足していたので、物が少ない環境の中で僅かなビタミンDでも効率よく利用するために日光浴が推奨されており紫外線を浴びることで、骨の形成に必要な血中のビタミンDを活性化していたのです。今は飽食の時代で、粉ミルクも完全栄養のものが多く、ビタミンD不足はあまりないということも、影響しているとの事。

昔に比べて栄養状況が改善した結果、日光を長時間浴びる必要がなくなったとの事です。

 

【外の空気に触れる「外気浴」は赤ちゃんの健康に有益】

日光を浴びすぎると体に悪影響があるとのことですが、まったく日光を浴びる必要はないのでしょうか?

日差しの強い時期に何時間も外にいるなど、過度に日光を浴びることは控えるべきですが、室内にずっとこもって過ごすのも、健康を害する原因となります。

 赤ちゃんをずっと一定の温度の部屋で過ごさせてしまうと、皮膚が外界の環境に適応できなくなってしまいます。例えば寒いと手足が赤くなったり、冷たくなったりするのは、外気の温度や環境に合わせて毛細血管が拡張・収縮し、体温を一定に保つ役割を果たしているから。

外気(自然環境)から完全に遮断すると、そういった自律神経の調節(環境適応)ができなくなってしまう

外気による刺激で、皮膚に一定のストレスを与えることは、赤ちゃんの健康のために必要との事。

 

【骨の形成に必要なビタミンDと紫外線との関係は?】

また、栄養状況が改善して以前ほど日光を浴びる必要はなくなったとはいえ、最近は活性型ビタミンDが不足している子どもが増えているそう。

「ビタミンDは、骨の成長に必要なカルシウムを体内に取り込みやすくし、骨化を正常に進ませる働きがあります。しかし、近年血液中の活性型ビタミンDが不足する子ども存在し、骨の発育不良を起こす『くる病』もしくはその予備軍が増えています。この背景には『日光を過度に避けること』が原因としてあります。」

また専門の先生によれば、日常生活において、常に日焼け止めを欠かさないということも紫外線を遮断してしまうので「過度」にあてはまるようです

「皮膚にある色素細胞は、紫外線を感知すると、過度の紫外線から体を防衛するために、黒色のメラニン色素を作り出します。これが日焼けという現象で、黒い皮膚は紫外線から体を守った証拠。多少の日焼けは大丈夫ですよ。」

活性型ビタミンDは、紫外線を10分程度浴びただけでも形成されるそうなので、外遊びやお散歩など、短時間の外出は積極的に行うと良いのですね

*専門の先生とは…聖マリアンナ医科大学
形成外科学教室内幹細胞再生医学(アンファー寄附)講座 特任教授特任教授 井上肇先生*
【引用元】https://iko-yo.net/articles/1403

日光浴より外気欲が大切